寺島進さん覚書

稲村ジェーンを見たときに あれこの人・・と 異彩の人を見つけた。 そのまま ぼぉっと眺めてきたが・・ この人の眼を追いかけてみようとおもった。 忘れないように。。覚えておこう。

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『火天の城』 原作:山本兼一  その4

『火天の城』 原作:山本兼一  その4

『火天の城』の滋賀の高島市でのロケ場面は
どうも、原作によると、この場面のようだ。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

その巨石を見た瞬間、戸波清兵衛は、
思わず瞼を閉じた。
又右衛門と満月を愛でた翌朝のことだ。
信長の甥、織田信澄に呼び出され、
小姓について、観音寺山に行くと、
中腹の石切場に、武者と人足が群がっていた。
とてつもなく大きな石が、掘り出されていた。

「よい石であろう」
水色の小袖を、片肌脱ぎにした信澄が、
石の上に立って、大声をあげた。
山の中腹に露出していた岩頭を掘らせると、
この巨大な石が、あらわれたのだという。

「割って、運ばねばなりませぬな」
「いや、このまま運べ。
 砕いたり、割ったりしてはならぬ。
 これは、天下の名石だ」

人足たちが、桶に水を運んできた。
信澄は、石を洗うように命じた。
表面の土が、水で洗い流されると、
少し、赤みをおびた縞模様が、あらわれた。

「見よ。土のなかから、おろちが甦りおった」

たしかに、縞模様は、大蛇が、
とぐろを巻いているように見える。

「ここが頭でな。こうぐるりと胴を巻いておる」
言われてみれば、そうも見えてくる。
頭に見立てたあたりには、目の窪みさえある。

「西瓜があったな。あれを持ってこい」
小姓が走って、大きな西瓜を持ってきた。
信澄は、拳骨で半分に割ると、
石の窪みに押し込んだ。
大蛇に真っ赤な目がついた。

「画龍点睛とは、このこと。
 まことのおろちじゃ。
 よいな、このまま運べよ」

小さな、納屋などよりは、よほど大きな石だ。
高さ一丈(約3メートル)、
さしわたし二丈は たっぷりある。

「三万貫(約112トン)はありましょう。
 無理でございます」
「無理なものか。
 人足を集めれば、運べぬことはない」
「お止めになったほうが、よろしかろう」
「不甲斐ない石工頭じゃ、
 一念岩を動かすほどの、心胆はないか」

押し問答していると、信長がやってきた。
石を見るなり、大きく眼を開いた。

「あっぱれ、安土の守り神を掘り当てたな。
 本丸入り口に据えるがよい」
「されど、肝のすわらぬ石工頭が、
 動かせぬと、ほざいておりまする」

鞭を手にした信長が、戸波清兵衛を睨みつけた。
刺すほどに、視線が痛い。

「なぜ動かせぬ。試しもせず、なぜ無理だという」
「地に埋もれたる石は、熱く滾る御神火の化身にて、
 本性は、きわめて、猛々しいもの。
 あれだけの大石を動かせば、
 山を下ろすだけでも5人、十人の死人が出ましょう。
 それゆえ、できぬと申し上げました」

「人足が、そればかり死んだとて、大事はない」
「安土山を登らせるとなれば、さらに人死にが増えましょう」
「工夫があろう。穴太の石工は、知恵なしか」
清兵衛は、首をふった。

「動かして、動かせぬことはありませぬ。
 されど、申し上げましたように、
 あの蛇石は、御神火の化生。
 無理に、山を登らせますると、災厄をもたらします。
 それは、天地乾坤の理を曲げる、不遜なくわだて。
 人がなすべき業では、ございませぬ」

しばらくのあいだ、信長は額をなで、
清兵衛をねめつけていた。

「もうよい。お前は、石工頭からはずす。
 何処へなと去ね」
「お役に立たず、申し訳ありませぬ」

※※・・つづく・・

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆


と、この大蛇石を石工頭を変えて、
運ぶことになるのだが・・・。

この場面をエキストラさん 2、300名を集めての、
撮影となっているようだ。

火天の城

| 『火天の城』 | 2008-11-06 | comments:0 | TOP↑















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