ちわわんと言うハンドルネームと、タイトル名と、この名前を作ってから・・・いつの間にやら 20年余りも経過しちゃったなぁ~・・・あの頃は、タグ打ちの時代で、同じ名前は登録できなかった時代だったのになぁ~~~・・・Windows95のホームページの時代から考えると、すごいわよねぇ。。写真もコメントもさくさく入れられるようになっちゃって驚いちゃうわよね( *´艸`)

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ひとりごと・・

ちわわん

Author:ちわわん
知り合った多くの友人たちに。
感謝をこめて。

↑写真はぷりんちゃん15歳6ヶ月と20日(2015年6月20日没)と
3年前に5月7日に17歳で亡くなったその母ムーバです。

静岡市在住の。
ご近所の犬ともだちさんへ。
ありがとうの言葉を添えて☆

長い犬人生と映画など色々。
20年程前のホームページも合体しました。
これからもよろしくお願いいたします。


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「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その6
「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その6

『キッズ・リターン』原作:ビートたけし 田村章著  

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

そして。
無気力で怠惰な二人のバカが、
初夏のある日、再会する。

いつもの道を、いつものバカ二人が自転車で走る。
いい天気だ。

故郷に戻ったろくでなしの男に、
懐かしいにおいの風が、
「ああ、おまえは何をしてきたのだ」
と、問いかける、そんな詩も、昔あった。

陸橋を渡り、倉庫街を抜けているうちに、
勝手に頬がゆるんだ。
へらへら。
だらだら。

シンジは高校に向かっていた。
マサルは行き先を告げなかったし、
学校が近づいてきても
「やめようぜ」とは言わなかった。

・・・・

「また、どこかのバカだよ」
教師の嘲るようなつぶやきに、
教師の生徒たちは薄笑いで応えた。

いつものバカから、どこかのバカへ。

どこかのバカ二人が、
昔のように、校庭を自転車でぐるぐる巡りつづける。
どこかのバカは、どこかへ行く。
いつか。
いつもとは違う場所へ。
いまは。
とりあえず、戻った。

「マーちゃん」シンジは言った。
「オレたち、もう終わっちゃったのかなあ・・・」
「バーカ」マサルはさっきより強くシンジの背中を小突いた。
「まだ始まっちゃいねえよ」

自転車は校舎に向かう。
スピードが、ぐんぐん上がる。
そうだよな、やっぱり、
まだ始まってないのかもしれないな、
と、シンジは心の中でつぶやいた。

そうだよな、やっぱり、
もう終わっちゃったのかもしれないな、
と、マサルは声にださずに首を傾げた。

自転車が、Uターンする。
校舎を背に、さらにスピードを上げていく。
シンジの「ねえ・・・」と、
マサルの「なあ・・・」が、かぶさった。

「なんだよ、シンジ」
「マーちゃん、なんですか?」
「おまえから先に言えよ」
「いいですよ、マーちゃんから先に言ってくださいよ」
「おまえが言えよ」
「マーちゃんからですよ、そんなの」
「・・忘れちゃったよ、なに言おうとしたのか」
「・・・オレもです。忘れちゃいました」

マサルが、「なんだよ、バカ」と吹き出して、
シンジも笑った。

自転車が校門を突き抜ける。
街に出た。
背中に、学校のチャイムが聞こえた。
授業の終わりだった。
放課後の始まりだった。
チャイムが鳴り終えた後も、
スピーカーのノイズなのか、
低くハミングするような響きがしばらく残っていた。

★・・・・
  ☆・・・・・

と、なかなか文章が素敵である。
重松清さんらしいといえる・・・

寺島進さんも 若頭の役名が寺島だったというのも、
ちょっと笑えた。


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「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その5
「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その5

『キッズ・リターン』原作:ビートたけし 田村章著  

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

”ふしあわせという名の猫がいる
 いつも わたしにぴったりよりそっている”

大の字に寝転がったマサルに、
寺島が、ゆっくりと近づいていく。

大の字に寝転がったシンジの横に、
かがみ込んだレフリーが、
腕を振り下ろしながら、カウントする。

寺島が振りかざした日本刀が、
月の明かりを弾く。

重田がリングに投げ入れた白いタオルが、
虚空を舞う。

マサルの右腕から真っ赤な血が噴き出した。

チャンピオンの右腕が、高々と差し上げられるのを、
シンジはぼんやりと見た。

救急隊員が四人がかりで運ぶ担架から、
ヒロシの右腕が、だらんと垂れ下がった。

木村と柳田が、
寺島や幹部たちに、頭を小突かれながら
倉庫を引き揚げていく。

シンジは無人の控え室で服を着替える。
会場の歓声が、ひときわ大きくなる。
メインイベントで、シンジと同い歳の挑戦者は、
みごと世界タイトルを奪取したらしい。

ボンネットがひしゃげたタクシーが、
レッカー車で、用水路から引き揚げられる途中、
ルームミラーの端にひっかかっていた
天使の人形が ぽとりと落ちた。

マサルはよろめきながら立ち上がる。

シンジはボストンバックを提げて
控え室を出て行く。

救急車の赤い灯が、
闇に長く尾を引いて滑っていく。
サイレンの音が、それに少し遅れて、追いすがる。
やじ馬の老人が、
遠ざかっていく救急車のテープランプに掌を合わせて、
頭を垂れた。

”子供の頃、”と、寺山修司は書き付けた。
”自分の生命線がみじかいと人に言われて、
 釘で傷つけて、掌を血まみれにしたことがあった。
しかし、ほんのすこしばかりの
釘で彫った肉の溝も、
傷が癒えると共に消えてしまい、
わたしの生命線は、やっぱり短いままであった。
生命線ばかりではなく、知能線も短かったし、
運命線に到っては、
あるかなきかの如くであった”


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「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その4
「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その4

『キッズ・リターン』原作:ビートたけし 田村章著  

”おれの心臓は、さみしいひろいボクシングジムだ
 だれもいないのにサンドバックだけが唸っている
 もしおれが夢の中で
 相手のボクサーに一発ノックダウンを喰らわせたら
 町じゅうの不幸な青年たちは
 一斉に目をさますだろうか?”
と、寺山修司は言った。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

シンジもマサルも、
なぜ、寺山修司を知らなかったのだろう。
バカだからだ。

けれど、
もしも、寺山修司がいまも生きていたら、
たぶん、彼は、ふたりのバカを愛してくれたはずだ。
ふたりを主人公に紡がれるドラマが、
悲劇なのか、喜劇なのかは、ともかくとして。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

寺島が珍しく、
「ちょっと話があるんだ」
と、マサルに連絡をとってきた。

迎えの車に、寺島も堅い表情で座っていた。
「どこに行くんですか」とマサルが訊くと、
「黙ってついてくりゃいいんだよ」
と、くぐもった声で言う。

車が向かったのは、
いつか、寺島が、
神戸のヤクザを撃ち殺した倉庫だった。
・・・・

木村と柳田が、
「すみませんすみません」
と、泣きながらマサルを殴りつづける。
マサルは抵抗しない。
けれど、寺島たちに詫びもいれない。

ぼんやりと、明り取りの窓を見上げ、
へらへら笑いながら、殴られ、蹴られ、
間接をひねられ、倒され、頭を踏まれる。

バカ野郎、バカ野郎、バカ野郎、バカ野郎、
バカ野郎・・・・・。

ずーっと、バカってばかり言われてたんだよなあ。
そんなふうに思うと、
また、薄っぺらな笑いが浮かぶ。

ほんと、バカだよ、オレって・・・・。


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「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その3
「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その3

『キッズ・リターン』原作:ビートたけし 田村章著  


マサルと友達同士なのかと訊かれて、
シンジがうなずけない所以のひとつが、そこにある。

長い長い登校時間。
長い長い学校帰りの寄り道。
マサルとシンジは、その相棒同士なのだ。
だから、ラーメン屋で晩飯を終えたら、
二人で過ごした一日は終わる。

ラーメン二つ。ギョウザを一人前、ビールを一本。
「あと、煙草ある?」
マサルが言うと、店の主人は
「あんまり高校生のときから煙草とか酒とか、
 やめたほうがいいよ」と、
とりあえず、釘だけは刺しておいたから、
と、いう感じで言った。

「関係ねえよ」
マサルもにやにや笑いながら応える。
ところが。

「おう、こら」
二人から少し離れたテーブルから、
ドスの効いた声がぶつけられた。
4人組の、見るからにヤクザだ。
派手なスーツを着た、兄貴分らしい男と、
その舎弟らしい目つきの鋭い男。
スキンヘッドとアロハシャツの若い二人は、
使い走りか運転手といったところだ。
声をかけてきたのは、舎弟の男だった。

マサルとシンジがぎょっとして振り向くと、
三白眼を吊り上げてつづけた。
「おまえら、ガキのくせに、
 ビールなんか飲むんじゃねえぞ、この野郎」

シンジはそっと目をふせたが、
マサルは、バカの度合いがディープなぶん、
こういうときにもビビらない。

「ガキがビール飲んじゃいけねえって
 法律でもあんのかよ」
「あるじゃねえかよ」
ヤクザのほうが正しい。
だが、マサルは吐き捨てるように言った。

「てめえの金でなに飲もうが自由だろうが」 
「なんだと?}
舎弟は、語尾を跳ね上げて、
手近にあったビール瓶をつかんだ。
「てめえ、この野郎・・・」
マサルも逃げるつもりはない。
カツアゲの失敗でむかついていたところだ。

舎弟が立ち上がった。
そのときだった。
「やめろ、寺島」
兄貴分が低い声で言った。
穏やかな口調だったが、
いきりたった舎弟の声よりずっと凄みがある。

寺島は、不承不承ながらも椅子に座り、
舌打ち交じりに、マサルをにらみつける。
若いチンピラ二人も、同じように。
厨房で、皿を洗っていた若者まで。

だが、兄貴分は、鷹揚に微笑んで、
マサルに声をかけた。
「あんちゃん、悪かったな」
「・・・いえ・・・」

唇をほとんど動かさない小さな声だった。
おそらくヤクザたちには届いていない。
聞き取ったのは隣にいるシンジだけだ。
思いのほか、素直な声の響きだった。


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「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その2
「Kids Return キッズ・リターン」 1996年 北野武監督 その2

★『キッズ・リターン』原作:ビートたけし 田村章著 ★

とてもしっかりとした文章で、
詠み人の心を しっかりと捕まえてしまう。

一つのれっきとした小説本に
仕上がっていることに驚く。

普通ノベライズだと、
ああ、あくまでもノベライズだな・・
と言った感が否めないのだが、
この本は違う。

寺山修司の引用も多く出てくる。
年代的には、とても近しい気持ちになる。
私の、中・高校の先輩が、寺山修司に憧れて
その頃、”白痴”や、”若きウエルテルの悩み”などを
上演していた劇団四季へと入っていったのも懐かしい。

この作者は、何かが違う・・
何かがキラリと光ると思っていたら、
つい、最近になって、この田村章なる作者が、
『疾走』の作者の重松清さんだったことを知った。

ああ・・・なるほど。
なんかとっても、納得できる文章なのだ。
是非、一読してみてほしい。
特徴が出ている。

この本の中で、
私は石橋凌さん演じる、ヤクザの組の、
若頭役だった寺島進さんの役柄に、
ちゃんと、名前があったことを初めて知った。
しかも、その名前が、「寺島」だったのだ。
あはははは・・。
ひとり、笑ってしまった。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

いつものバカが、
ただっ広い校庭を、
二人乗りした自転車で走りまわる。

バカは高いところと広いところが好きだ。
学校には、その両方がある。
校庭と屋上。
だから、バカは、
周りの人間が思うほどには、学校が嫌いではない。

バカが嫌いなのは、学校という建物ではなく、
狭苦しい教室に、朝から夕方まで閉じ込めて、
受験以外には役に立ちそうもない勉強を押し付ける。
学校という管理システムなのだ・・・・
と、筋道立てて考えるような知力も気力もないから、
バカなのである。

バカが二人。
マサルとシンジ。
授業中の、しんと静まり返った校庭を、
ひたすら自転車で走りまわる。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆

つまんねえよ、オレらの毎日。
マサルも、シンジも、それだけは口にしない。
暗黙のルールのようなものだ。

最前線の兵士が決して、
「この戦争はなんのためのものだ」
と、問うてはならないように、
「なぜ オレは歌いつづけるんだ」と
立ち止まってしまったロックスターが、
二度とステージに昇れなくなるように、
退屈をやりすごす者にも、禁じられた言葉がある。

なんで、こんなにつまんねえんだよ・・・。
そう、つぶやいた瞬間、
退屈は絶望に形を変えてしまう。

☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆ーーー☆


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